【展示】ヨーロッパの上流階級のレースとレース・グラス

さすがに連休にどこへも行かないというのは許されず、重い腰を上げ、家族で日帰りで箱根に出かけました。関所跡、星の王子さまミュージアム箱根ガラスの森美術館、そしてお決まりの温泉につかるという一日がかりの行程でした。やはり帰りの道路は混んでいて疲れはしましたが、思ったほどの渋滞でもなく、楽しく過ごしました。

星の王子さま』も好きな話ではあるので楽しみでしたが、実際にフランスへ行ったことがある人には作り物っぽくて物足りないかも。ただ、想像していた以上に展示物が充実していて、高所恐怖症の人間としては飛行機乗りの気持ちは理解できませんでしたが、そこは楽しめました。でも、展示の手紙などは本物じゃないですよね??

興味深かったのが、箱根ガラスの森美術館。庭園に飾られたガラスのオブジェはう〜むという感じですが、「ヨーロッパ貴族の至宝―ヨーロッパ貴族のレースとレース・グラス」展はなかなか興味深いものでした。ガラスの美術館ということなので、メインはイタリアのヴェネツィア近郊のムラーノ(ガラス工芸で有名ですね)のレース・グラスの方ですが、個人的には、ひだ襟、カフス、クラヴァット、ハンカチーフなどのレース編みの方に興味を持ちました。展示品はイタリアのヴェネツィア貴族のものが中心ですが、中には、マリー・アントワネットが侍女に贈ったという孔雀模様の入ったものやヴィクトリア女王の娘に贈られるはずだったハンカチの刺繍などもありました(アリス王女。35歳で亡くなったために未完成のまま)。

ヨーロッパの貴族の屋敷や城館などではよく展示してあるのですが、実物と写真を見るのとでは細かさの部分で全然違います。すべてがレース工房において手作業で行われていたというから驚きです。目には悪かったでしょうね。エリザベス朝のや貴族や貴婦人の肖像画でよく見かける優雅なひだ襟も、こうした地道な庶民の作業によって支えられていたんですね。美しさと細かさに感動するとともに、世の中の理不尽さも感じます。

さて、このひだ襟やカフスですが、当時はどうやって服に付けていたと思いますか? 下の肖像画エリザベス1世です。現在のように縫い付けるのはなく、たくさんのピンで止めていただけなのだそうです。想像してみると痛そうですよね。実際、動く際には首回りや手首はもちろん、体中で針がちくちくと痛み、いったん身につけてしまうとほとんど動けなかったようです。そりゃそうでしょうね。

本物のレースを見る機会はなかなかないと思いますので、箱根に出かける機会があれば、ぜひ、箱根ガラスの森美術館にも寄ってみてください。レースの展示は2010年11月3日まで。詳細は下記ホームページで。

http://www.ciao3.com/museum/kikaku/2010_laceglass/index.html