【読書ツール】読書ツールが変われば、読み方も変わる?、その2

昨日の続きです。
「このように読書ツールが変わることによって、本の読まれ方そのものが変わるのか?」という点は、非常に興味深いところだと思います。本の長い歴史の中で節目節目に読書ツールが大きく変わっていますが、読者層を含め、革命的な大きな変化が起きています。
まず、口承であったものを初めて何かに書きとめられたものを読むようになったこと、印刷技術の発達によりひとつひとつを書き写した写本から印刷物へと変わったこと、定期刊行物という媒体の流行、19世紀に入って読者層が一気に広がり、書き下ろしであった小説もまずは雑誌連載されるようになったこと、そして現在のインターネットや携帯電話の普及。
また、執筆ツールも大きく変化してきました。高級な羊皮紙にインクで書き写していた時代、まだまだ高価な紙に小さな字で書き込んでいた19世紀、20世紀にはいるとタイプライターができ、最近ではパソコンが主な執筆ツールとなりました。このように、執筆ツールや読書ツールが変われば、当然、書かれ方や読まれ方そのものも変わるはずです。身近なところでは、携帯電話で書かれた小説というのは、手書きのものはもちろん、パソコンで書かれたものとも違うはずです。
このように、ツールが変わることによって、文学作品の書かれ方や読まれ方がどのように変わるのか。読む行為そのものが持つ意味合いの変化について考えることも、面白そうな卒論のテーマにもなりそうです。

読書という行為については、下記の2冊が参考になります。

読書の歴史―あるいは読者の歴史 (叢書Laurus)

読書の歴史―あるいは読者の歴史 (叢書Laurus)

読むことの歴史―ヨーロッパ読書史

読むことの歴史―ヨーロッパ読書史

  • 作者:ジェシャルティエ,グリエルモカヴァッロ,Roger Chartier,Guglielmo Cavallo,田村毅,月村辰雄,浦一章,横山安由美,片山英男,大野英二郎,平野隆文
  • 出版社/メーカー: 大修館書店
  • 発売日: 2000/05/01
  • メディア: 単行本
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