【研究会情報】18世紀イギリス文学・文化研究会第15回例会のお知らせ

日本ジョンソン協会という学会があるのですが、その東京支部が研究会を開いています。
この学会は、サミュエル・ジョンソンというイギリスの18世紀の文豪の名前を冠にし、「長い18世紀」(具体的には、イギリス王政復古期からウィリアム・ブレイク没年時に至るおよそ150年の期間、平たく言うと、17世紀後半から19世紀初めまで)のイギリスの文学・文化について研究するグループとして活動を続けてきています。学会ホームページがあるので、興味のある人はのぞいてみてください(http://johnson-society-japan.hp.infoseek.co.jp/)。

しかし、「サミュエル・ジョンソンって誰?」という声がいかにも聞こえてきそうですね。
イギリスでは、シェイクスピアに並ぶほどの有名人なのです。かつて、オックスブリッジ(オックスフォードとケンブリッジという伝統大学)の文学部の講座でも、個人名が付いていたのはこの二人だけです。それほどの人物でありながら、なぜか日本ではこれまであまり一般に馴染みがありませんでした。

ジョンソン博士(「ドクター・ジョンソン」。医者ではありません! オックスフォード大学から名誉学位をもらったこともあり、こう呼ばれます)の面白いところは、小説を書いたり、辞書を作ったり、エッセイを書いたり、雑誌を編集したり、といろいろなことをやっている割には、その文学的な功績よりもむしろ個性的な性格そのものが強くイギリスの人たちの興味を引きつけてきたことです。例えば、スコットランド嫌いとされる彼が編纂した辞典の中で、「オート麦」という言葉について、「イングランドではふつう馬の飼料であるが、スコットランドでは人の食料となる穀物」と定義してスコットランド人を小馬鹿にしているというのは有名な話です。
そんな皮肉屋で機知に富んだユニークなところが魅力的で、彼自身の手になる著作よりも、その弟子筋にあたるジェイムズ・ボズウェルが書いた伝記『ジョンソン伝』で有名になったという感じです。伝記の好きなイギリスの国民性を示す好例のひとつですね。

実は、昨年は、そんなジョンソン博士の生誕300周年でした。イギリスはもとより、日本でも関連本がいくつか出版されました。次回のブログでは、そんなジョンソン博士についての本をいくつか紹介します。

ここでは、研究会の情報に戻ります。

日 時: 2010年5月15日(土) 14:10〜18:00
場 所: 専修大学神田校舎1号館8A会議室(8階)
プログラム:
14:10〜16:10 Simply Johnson 1
イントロダクション、話題提供1(服部典之大阪大学教授「アビシニアン・ジョンソン」)、話題提供2(原田範行・東京女子大学教授「ジョンソンの絵画的風景」)
16:10〜17:00 休憩、近況報告
17:00〜18:00 Simply Johnson 2(江藤秀一・筑波大学教授「ジョンソン、スコットランドアイルランド」)

内容は、昨夏にオックスフォード大学で開かれたジョンソン博士についての国際学会についての情報を含め、ざっくばらんにジョンソン博士についての情報交換を行おうというものです。参加するにはちょっと勇気は必要かも。でも、今回参加すると、ジョンソン博士についての大まかなところが理解できるように思います。ちょっと出かけてみませんか。