【学会参加報告】フォークナー協会大会のシンポジウムに行ってきました

久しぶりの書き込みになります。このところ、妙に忙しくなって、なかなか時間が取れませんでした。
昨日、フォークナー協会の大会のミステリーのシンポジウムに行ってきました。その報告を簡単にしたいと思います。
小池滋先生と佐々木徹先生のお話は、期待にたがわず、とても面白い話になりました。アガサ・クリスティーらがデビューする1920年代からがミステリーの黄金時代になるそうですが、まず、佐々木先生が1920年代までの歴史を紹介し、その後、小池先生がより詳細な話をしてくださった感じで、お二人の話がうまく補完関係になっているように思いました。
今回の話を聴いてきになったのが、エドガー・アラン・ポーとT. S. エリオットの存在。作家や詩人としてではなく、評論家としての二人の存在が、イギリスのミステリーの発展に大きな役割を果たしていたであろうことです。ポーのディケンズ論やエリオットのミステリー論などは、私もきちんと読んでみたいと思いました。佐々木先生のお話に教えられました。
それとともに、独特な小池節で語られるミステリーの魅力も非常に印象に残りました。こういうことはあまりしないのですが、かつて読んだことのあるミステリーをもう一回読み直してみようと思い、その足で神田の三省堂で買い求めました。クロフツの『樽』です。帰りの電車の中でずっと読んでいました。この連休は、やらねばならぬことを脇に置き、この本に熱中しそうです。読むのは二回目ですが、意外に面白く読んでいます。

樽 (創元推理文庫 106-1)

樽 (創元推理文庫 106-1)

イギリスのミステリーの古典の中の古典です。未読の人は是非。
フォークナーというアメリカの作家の学会にも関わらず、見渡したところ、今回はいつもよりイギリス小説の研究者、特にディケンズ専門家の参加が多かったのではないかと思います。そんなことを考えるとしみじみとしました。