【報告】行ってきました、イギリス研修旅行

大学の授業のひとつに、テーマを決めてイギリスやアメリカをまわるというものがあり、今年度に「イギリス小説の舞台を巡る南イングランドの旅」というテーマで担当しました。9月5日に出発し、昨日に帰国しました。以下、メモにまとめていたものを載せることで、今回の研修旅行の報告をしたいと思います。興味のある方は読んでみてください。

[9月5日(月)]成田→ロンドン→ウィンチェスター
成田空港→ヒースロー、12時間。機内では、『岳』『もしドラ』『プリンセス・トヨトミ』など、日本映画ばかり3本を観る。どれも面白かった。ロンドンは曇天。ヒースロー到着後、現地ガイドのOさんと合流し、大きめの貸切専用バスでウィンチェスターへ。ホテルは、四つ星だが、やや手入れが足りない感じ。夕食はサンドイッチ、水、りんご、スナック二つが支給される。休憩後、学生6名と20時過ぎの街を散策。すでに街は眠っている。The Royal Oakという、脇道にあるパブに入る。1002年からという古いパブ。私はビター1パイント半。久しぶりのビターは美味。その後、ホテルで爆睡。

[9月6日(火)]ウィンチェスター、チョートン、セルボーン
ウィンチェスター2日目。5時半に起床。まだ外は暗い。小雨。8時45分に、卒業生でサウサンプトン大学大学院で勉強しているでSさんと合流。チョートン・ハウス・ライブラリーでも研究していたこともあり、案内とレクチャーををお願いした。1.チョートン・ハウス・ライブラリ、2.オースティン・ハウス、3.ギルバート・ホワイトの家を見学予定。すべて雨と強風というあいにくな天気。1.では、Sさんの本についてのレクチャーと学生による作業。200年くらい前の本を触りながらの作業は、学生にとってよい経験になったのでは。その後、ライブラリーの職員によるハウス・ツアー。サウサンプトンだ学のジリアン・ダウ先生もいらっしゃって、ご挨拶。日本オースティン協会大会以来の2年ぶりの再会。その後、雨と風の中、庭園散策。2.では、オースティンについてのビデオを観た後、ハウスの見学。2003年に改装したとのことで、前回とは印象が違う。マネージャーに挨拶。家は小さめの部屋が集められた感じ。ただ、コテージといても日本の感覚では大きい家。3.では、ここも強い雨の中、トップ・ガーディナーによる庭園の案内。ホワイトは、少しずつ庭を大きくしていったという。凝っていてよかったが、意外にせこく、フェイクの大理石や石像が笑わせられた。家は意外に大きく、増築されたのか、複雑に入り組んだ感じ。夜は、Sさん、ガイドのOさん、学生7名で、The Royal Oakで夕食。私は牛肉のエール煮込みパイとアボットのビター。寝る前に、学生4名と私の誕生日会とトランプ大会(誕生日は8月だったのですが…)。

[9月7日(水)]ウィンチェスター→バース
6時に起床。曇り。朝食後、ウィンチェスター市内の散策。大聖堂、オースティンの亡くなった家、ウィンチェスター・コレッジ、川沿いの散歩、アルフレッド大王像、ギルド・ホール。その後、12:00まで自由行動。ウォーターストーンズで小説を一冊買う(Christos Tsiolkas, "The Slap"。オーストラリアの作家らしい。いちゃもんつけているような子どものイラストの表紙が印象的。どこの本屋でも平積みになっていた)。昼過ぎ、バースへ移動。曇り時々雨。冬のように寒い。ローマ式風呂を見学。その後、自由行動。ブック・ミュージアムの後、オースティン・センターへ。ここのレクチャーと展示は基本的なことだけだったので、私にとっては今ひとつ。それから、前に来たときに本を買った、ザ・サークルの近くの古本屋へ。三軒中、 残っていたのはひとつのみ。少し悲しい。夕食はウェイトローズの上でみんなで中華バイキング。その後、学生4名とホテル近くのパブThe Sarasen's Headへ。なぜかディケンズのコーナーがある。ビターを1パイント。

[9月8日(木])バース→レイコック→ストーンヘンジ→ソールズベリー
6時に起床。曇り。朝食後、レイコック・アベイへ出発。まだ開いておらず、まず村を散策。オースティンの映画などで使われた町並み。その後、アベイに入る。敷地内を散策、『ハリーポッター』の映画撮影に使われた回廊など見学。バーナード・ショーの写真の展示もあり。セルフヌードの写真もあり、彼がかなりナルシストであったことがわかった。昼食は、ナショナル・トラストでジャケット・ポテトと紅茶。その後、ストーンヘンジへ出発。途中、ホワイト・ホースが見える。ストーンヘンジは、まず強烈な畑(たぶん)の匂い。ストーンヘンジそのものは、前回と同じ印象。意外と小さい感じ。ソールズベリーに着く。ひと息入れて、ガイドのOさんと学生たちと街を散策。賑やかさに驚く。さすがに大聖堂の高さには圧倒される。夕食は、ガイドのOさん、学生たちとホテルの隣のパブThe Cloistersで。私はラム肉の煮込みとビターを1パイント半。美味。

[9月9日(金)]ソールズベリー→オックスフォード
6時に起床。曇り。昨日は21時過ぎに寝た。ぐっすり。まず、ソールズベリー大聖堂を見学。ガイドのおじいさんのアーサーが愉快。大聖堂近くの学校では、ブループレートがあり、ウィリアム・ゴールディングが校長をしていたとのこと。途中、ドライブインで昼食をとり、オックスフォードに入る。クライスト・チャーチ、聖メアリー教会、ラドクリフ・カメラを見学。随分と人が多い。夕食は、The Clownというパブで、ガイドのOさんと学生たちと。ラム、フィッシュ・アンド・チップス、サラダをシェア。ビター1パイントとサイダー半パイント。少し飲みすぎ?

[9月10日(土)]オックスフォード→ウィンザー→ロンドン
6時に起床。曇り、晴れ。朝食後は自由行動だったので、ジョン・ヘンリー・ニューマンをテーマにひとりでオックスフォードの街をまわる。オリエール・コレッジ、聖メアリー教会など。 教会内では、ニューマンが説教をした台を見る。ここから、オックスフォード運動が盛り上がったのか思うと感動。しっかり勉強してみようと改めて思った。その後、キャス・キットソンほかでお土産を買う(キャスのお店はどこにでもあった。やはり人気みたい)。自分用にはブラックウェルでイギリスの今年の短編集を買う。その後、ウィンザーへ移動。お城の見学。久しぶりだが、町並みは大きく変わらず。内部展示は楽しめた。昼食は、ガイドのOさんと二人で、どんなものかとWAGAMAMAでラーメン。店員は元気だったが、味は微妙。それから、ロンドン市内に入り、ロンドン・ブリッジ、タワー・ブリッジ、ロンドン塔などをバスでさっとまわる。夜は、学生数名と部屋でワイン会。ただし、各部屋でシャワーのお湯が出ずに混乱状態。

[9月11日(日)]ケンブリッジ、ロンドン
6時に起床。晴れ、曇り、雨。5名の学生たちとケンブリッジへ別行動。他のメンバーは、ロンドンにて、大英博物館、ナショナル・ギャラリーなど見学し、後は自由行動。キングズ・クロスから電車に乗ってケンブリッジへ。実に、一年ちょっとを過ごしてから十数年ぶり。さすがに近代化していて、ライオン・ヤードあたりは近代的なモールになっていて様変わり。びっくり。まずは巡回バスでひと回り。その後、マーケットが出ていたのでぶらぶら。チャールズ・キングズレーの小説の古本を3冊買う。そこで、元の大学の同僚のIさんに偶然に会う。在外研究で来たばかりとのこと。日本でもなかなか会えないので驚いた。昼食は、回転寿司Yo! Sushiで、学生たちと少し奇妙なお寿司を食べる。ファッション・ブランドの「超乾燥(スーパー・ドライ)」も発見。その後、キングズのチャペルを見学し、クレア、トリニティ、セント・ジョンなど、一連のオールド・コレッジを外から見学。ヘファーズにもより、コスタ・コーヒーでスコーンと紅茶で休んだ後、買い物。ウルフソンのコレッジ・タイを買う。時間がなくて、チェスタートンの家もウルフソンも見られなかったし、日曜日で古本屋のデイヴィッドも閉まっていたけど、ケンブリッジの変わったところ、変わらないところが確認できてよかった。やはり、一番、思い入れがある街。夕方にロンドンのホテルに戻り、学生3名と近くのパブFriend at Handで夕食。ラムとミントのパイ、小エビのカクテル、ビターを1パイント。

[9月12日(月)]ロンドン
6時40分に起床。晴れ、曇り。地下鉄でラッシュ時のロンドンを移動。聖ポール寺院、バッキンガム宮殿を見学。バスでピカデリー・サーカスへ移動し、一時解散。私はひとりで歩いてコヴェント・ガーデンへ。ロイヤル・オペラ・ハウスを見る。それから、国立肖像画美術館へオースティン詣で。ここは、いつ来てもいい。歩いてピカデリー・サーカスに戻り、おみやげなどを買う。ハッチャーズというピカデリーにある老舗の本屋でロイ・ストロングとピーター・アクロイドの本を買う。サイン本。何よりも、本を入れてくれた紙袋の立派さに「さすが」と驚く。その後、コスタ・コーヒーでお茶。クロテッドクリーム付のスコーンはやっぱり美味。夜はみんなでロンドン・アイに乗る。夜のビッグ・ベンをはじめ、夜景は最高。ホテルに戻り、今はキャスで働いているというこちらも卒業生のSさん(チョートンとは別の人)を加えて会食。ホテルの近くのイタリアン。

[9月13日(火)]ロンドン→成田空港
6時半に起床。晴れ、曇り、雨。イギリスの最終日。朝食後、学生4名とディケンズ・ハウスへ。前回に来たときよりも、やはりモダンになっている感じ。しばし、『オリヴァー・トウィスト』の気分にふける。その後、歩いて大英博物館へ。中へ入りはするが、ゆっくりせず。読書室は完全に移転したよう。その後、学生たちと分かれ、ブルームズベリーをぶらぶら。大英図書館まで足を延ばす。コスタ・コーヒーでスコーンと紅茶。ここのお店は今ひとつ。雨が強く降ってきたので小休止。午後にホテルに集合し、バスでヒースローへ。空港内の本屋で、A. D. Miller, "Snowdrops"を買う。今年のブッカー賞のショートリストに選ばれたということで期待して機内で読んでいたが、今ひとつな感じ。読み終わったら感想を書きます。大きなトラブルもなく出国し、11時間で成田空港着。その後、無事に解散。

学生が多少は体調を崩すなどあったが、大きな問題もなく終わった。参加学生たちがきちんと行動してくれたお陰と感謝しているところ。今回の研修の目玉は、チョートン・ハウス・ライブラリーでの研修だったけど、一番盛り上がったのは、レイコックやオックスフォードでの「ハリー・ポッター」関連というのはご愛嬌でというものでしょう。そういう研修のほかに、ガイドのOさんや卒業生の二人のSさんと話せたことも、「将来のことを考えるよいきっかけになった」と、予想以上に学生にとってはよい経験になったようでよかった。
急ぎ足の感じだし、全体的に天気もよくなかったけど、参加した学生たちはそれなりに「よかった」と思ってくれているのではないか。そうであればよいのだが。私も確かに疲れたけど、自分でも久しぶりのイギリスを楽しんできました。ビールばかり飲んでいる、という感じもしますが…。それにしても、気温15度前後のイギリスから戻ると、この日本の暑さにまいっているところ。