【雑考】世界の本屋さんトップ10

早いもので、10月も後半に入りました。読書の秋のはずが、なかなかまともに本も読めずに過ぎてしまっているような気がします。時間はあるはず。どこかで作らねば…。などと思いつつ、ネットを検索していたら、次のような記事を見つけました。
http://www.guardian.co.uk/books/2008/jan/11/bestukbookshops
3年前の2008年ですから、ちょっと古いのですが、イギリスの『ガーディアン』紙が"Top shelves"として「世界の本屋さんトップ10("The World's 10 Best Bookshops")」という記事を載せています。たびたびこのブログでも名前が出てくる、私の好きな京都の恵文社一乗寺店が入っているではありませんか! 「静かで厳粛な感じの雰囲気」のお店で、「本好きなら、言葉がわからなくとも訪れるべき」と評してある。あの感じは、イギリス人にもわかるんだ、と感心した。インテリアには言及していたので、ついでにBGMにも触れて欲しかった。
他には、オランダのマーストリヒト、アルゼンチンのブエノス・アイレス、ポルトガルポルトアメリカのロサンジェルススコットランドグラスゴー、ベルギーのブリュッセル、メキシコのポランコ、地元のイングランドからはピーク・ディスクリトとロンドンの本屋さんが選ばれている。それぞれの本屋さんのホームページを見てみると、どうも選ばれた基準はバラバラなようで、いわゆる個性的なところが選ばれているようだ。荘厳な雰囲気のところもあれば、田舎町にぴったりのものまで、いろいろ。
ロンドンで選ばれているのが、イギリスの老舗の本屋といえば必ず名前の出てくる、ピカデリーにあるハッチャーズ(Hatchards)。1797年(オースティンの時代!)から営業しているこの店は、女王、エジンバラ公チャールズ皇太子の三つのロイヤル・ワラント(王室御用達の印)を持つだけに、今でも他のチェーン店の本屋さんとは雰囲気はまったく違い、居住まいを正してしまうような感じがある。定員さんの雰囲気も違うし、本を買ったときに入れてくれる紙袋がまた立派。バイロン、ディズレーリ、ワイルドなどの錚々たるメンバーが常連だったというが、ロンドンを舞台にした小説にも、この本屋さんは登場します。

だがハッチャーズ書店のショーウィンドーをのぞきながら、彼女はなにを夢想していたのだろう? なにを思い出そうとしていたのだろう? ひらいてある本を読みながら、いったい彼女は白々とあける田舎の夜明けのどんなイメージを思い出そうとしていたのだろう?(22頁)

後期の授業のひとつで読んでいる、ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』(丹治愛訳、集英社文庫)からの一節。作品の初めのところでダロウェイ夫人が花を買いに出かけた際、この本屋さんのショーウィンドーをのぞく場面がある。ウルフもこの本屋さんに通っていたのかもしれない。この9月にロンドンに行ったとき、私もこの本屋さんに立ち寄り、数冊の本(一冊はピーター・アクロイドのサイン本!)を買った。そういうこともあったので、またまたハッチャーズの名前を見つけたときには、思わずニヤリとしてしまった。興味のある人は、ハッチャーズのホームページものぞいてみてください(http://www.hatchards.co.uk/
最後に、私のお勧めの本屋さんを紹介します。順不同です。イギリスからは、Hatchardsのほかに、ケンブリッジのG.David、ロチェスターのBaggins Book Bazaar、カンタベリーTiger Books、バースのGeorge Bayntun(先のブログで紹介したお店です)とBath Book Shop、ウィンチェスターのP&G Wells。他には、パリのShakespeare & Company。日本からは、京都の恵文社一乗寺店ガケ書房、岡山の万歩書店神田神保町の大島書店(洋古書)、松山の写楽堂城北店、そして地元は鎌倉の島森書店は今の私の休日の憩いの場となっています。みなさんの好きな本屋さんも教えてください。