【音楽】イギリスのミュージシャンは「階級」を歌う
急に寒くなりました。いよいよ本格的な冬の到来という感じです。このところ、本当にいろいろなことに忙しくなってしまって、ゆっくりと本を読む時間もない。久しぶりに深刻に危機感を覚えているところです。ヘッドフォンの大きめの音量でナイン・インチ・ネイルズなどを聴いていると、自分はかなりささくれだっているのでは…とふと思ったりも。でも、1枚目のアルバム『プリティ・ヘイト・マシーン』もこうして聴き直してみると、歪んではいるがメロディアスでかなりよくできたアルバムだと改めて感心している。
- アーティスト: ナイン・インチ・ネイルズ
- 出版社/メーカー: USMジャパン
- 発売日: 2011/10/12
- メディア: CD
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音楽といえば、今年の非常勤@戸塚の演習の授業は「ことばと階級」がテーマなので、先日、「イギリスのロックで歌われる階級」についての授業をした。ジョン・レノンの「ワーキング・クラス・ヒーロー」から始めて、スタイル・カウンシルの「シャウト・トゥ・ザ・トップ」と「ウォールズ・カム・タンブリング・ダウン」を経てパルプの「コモン・ピープル」に至る流れについて、歌詞を読み、YouTubeでミュージック・クリップを観ながら話をした。ジョンは真っ向から、スタイル・カウンシルはシビアな階級闘争をお洒落でメロディアスに隠しながらシャウトし、それがパルプに至ると自虐的なパロディのようなメッセージへと変わっていくところは時代の変化を反映しているようで面白い。個人的にはジャーヴィス・コッカー(パルプのヴォーカル)の深刻な問題を茶化したようなパフォーマンスは相変らずの脱力感いっぱいで笑ってしまったが、今回、特に印象に残ったのはスタイル・カウンシルの楽曲。スタイル・カウンシル、というよりも、ポール・ウェラーが大好きだったので、ジャム〜スタイル・カウンシル〜ソロに至るすべてのアルバムには耳を通してきた。でも、今回、やっぱりスタイル・カウンシル時代が一番素敵だ‼、と改めて感じ入った。
ニック・タルボットの弾くキーボードを中心とする聴いていて自然に体が動くようなポップな曲に、D. C. リーの美しいコーラスに合わせ、「落ちてしまったら上の連中に向かって叫ぶしかない」とシャウトするポール・ウェラー。
背中を叩かれたら、人生は終わり。
どん底に落ちてしまったら、
頂上にいる奴等に向かって叫ぶしかないだろ。
上にいる奴等に向かって叫ぼうぜ。
(「シャウト・トゥ・ザ・トップ」)
そして豊かな者はより豊かに、貧しい者はより貧しくなっていく、そんな両者を隔てる壁を打ち壊せと歌う。
団結が脅かされるのは、
持つ者と持たざる者とがいるからなんだ。
俺たちにはロバの目の前につるした人参のような
つまらぬ仕事が割り当てられる。
君がどこにいるのかさえわからない間に。階級闘争は現実であり神話ではないんだ、わかるかい。
ジェリコの城壁のように、
壁は崩れ落ちる可能性があるんだ。
(「ウォールズ・カム・タンブリング・ダウン」)
もともとCDばかりを聴いていたので、今回、ほとんど初めてじっくりとスタイル・カウンシルのPVを観た。ミックが意外に格好いいのにも驚いたが、ポー・ウェラーの瑞々しさと尖った感じが印象的だった。時代は感じさせられるものの、やっぱり格好いいですね。
スタイル・カウンシルがお洒落なラブ・ソングのように歌うのは階級を含めた社会問題。今こそじっくりと聴くべき音楽だと改めて思った。お勧めは下記の2枚。ジャケットはお洒落で本当に素敵ですよね。
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でも、今の僕には社会の問題を真っ向から考えるパワーがないので、ヘッドフォンでレディオヘッドでも聴こう。アルバム『ザ・ベンズ』は沈んでいくときに聴くには最高です。
- アーティスト: レディオヘッド
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