【文化】レポートや卒論のテーマ探しにうってつけ

木下卓・久守和子・窪田憲子編著、『イギリス文化55のキーワード』(ミネルヴァ書房

イギリス文化55のキーワード

イギリス文化55のキーワード

少しでも自分が関わった本を紹介することには抵抗感はあるものの、本書はイギリスについての基本的な知識をつけるのに非常に便利なものなので、紹介したい。

便利な点を簡潔にまとめると次の3点。
1.すべての項目が4ページに限定されており、何となく読むのによい分量となっている。
2.同時に、限られたスペースの中で文章が書かれているため、非常に簡潔でわかりやすい。
3.55個ものテーマを用意したためか、定番のものだけでなく、意外な事柄についても含まれている。

ただし、これは痛し痒しなところもあって、各テーマについて簡潔にまとめすぎているために、それぞれ何となく物足りなさを感じる面もあるのも確か。そうであれば、自分でいろいろと調べるしかない。これが大学での勉強ですね。

本書は、イギリスについての基本的な知識をつけるために読むものであるが、もうひとつお勧めしたいのが、レポートや卒論のテーマ探しに使うこと。
普通にイギリスの小説を読んでいるとなかなか思いもつかないようなテーマがあることに気づかせてくれることがあるかも。手間味噌で申し訳ないが、例えば、私の担当した「奴隷」の項目を読んでもらえれば、これから先、イギリス小説の中でこの問題がどのように扱われているのかに注意して作品を読むようになれるかもししれない。

文学作品を単に読むだけではなく、文化研究的な視点を持ち込んで考えていくための第一歩を提供してくれます。