2010-01-01から1年間の記事一覧

【現代アメリカ小説】「普遍的な自己」などあるのか?

恩師の書く本についてはできるだけ読むようにしています。もちろん、学生・院生時代を思い出しながら懐かしむ気分もあるのですが、同時に、自分も歳をとり、大学で教えるようにもなったので、段々と同じような目線で読むようにもなってきています。ただ、圧…

【入門書】サマセット・モームを読もう

久しぶりのブログになりました。先々週より体調を崩しており、なかなか書き込むこともできずにいました。ようやく復調してきました。周りのみなさんにはいろいろとご心配をおかけしました。でも、歳のせいか、無理はできないってことですね。 先週末、名古屋…

【文化】「映画で楽しむ〜」

Tくん、わかりますよ。書き込みをありがとう。学会の方はどうでしたか? ピューリタニズム学会は、エネルギッシュな先生方も多く、かなりレベルの高い研究を行っていると聞いています。また感想などを知らせてください。私も、最近、バニヤンをきちんと読み…

【入門書】澁澤ワールドへご招待

いつの時代でも、上の世代の人間は、若い人たちに向かって「〜を知らないの? ダメだなあ」なんてことは言うもので、これまで、私も散々に言われてきました。でも、段々と、そう言われる立場から、言ってしまう立場へと逆転してきていることに気づくことが多…

【入門書】イギリス小説をキリスト教とのつながりで考えよう

久しぶりの記事になります。5月末の英文学会が終わり、ほっとしていると、あっという間に時間が経ってしまいました。いやはや、時間の経つのがはやいこと。その間、懐かしい方からの書き込みもあり、インターネットのつながりのすごさを改めて実感しました。…

【雑考】1990年代ブーム?

先日、本屋で雑誌を立ち読みしていたら、『ミュージック・マガジン』2010年5月号が、オザケンこと小沢健二の特集を組んでいました。ミュージック・マガジン 2010年 5月号出版社/メーカー: ミュージックマガジン発売日: 2010/04/20メディア: 雑誌購入: 5人 ク…

【再掲】2010年度 フェリスでのフレンドリー・グループ活動へのお誘い

2010年度に、以下のようなフレンドー・グループを開くことになりました。イギリスの小説に興味のある人は、ぜひ、登録して、参加してください‼ 現在、1年生3名ほど登録してくれています。まだまだ間に合いますので、興味のある人は連絡してください。みなさ…

【学会情報】日本英文学会第82回大会のシンポジウムに出ます。

春の学会シーズンの到来です。 日本英文学会第82回大会が2010年5月29日(土)、30日(日)に神戸大学で開催されます。研究発表・シンポジウム・講演会とプログラムは盛りだくさんですが、イギリス関係のシンポジウムとして下記のものがあります。5月29日(土…

【歴史】イギリスの隠したい過去…

どこの国にも隠したい過去というものがあるもの。特に、一時的に覇権を握ったかに見える栄えた時期がある場合には。イギリスもその例外ではなく、いくつか触れて欲しくはないと考えているらしい過去がある。例えば、2007年、奴隷貿易廃止法案可決200周年を迎…

【舞台】フェリスの1年生が出演する現代劇です。

イギリスとは関係のない話題ですが、フェリスの英文学科1年生の喜多美月さんが出演する舞台『テガミ』の宣伝をします。舞台に興味がある人は、ぜひ、劇場に出かけてみてください。☆タイトル☆ 『テガミ』 演出 薬袋一久、脚本 山口信乃介、出演者 藤田俊雄、…

【展示】ヨーロッパの上流階級のレースとレース・グラス

さすがに連休にどこへも行かないというのは許されず、重い腰を上げ、家族で日帰りで箱根に出かけました。関所跡、星の王子さまミュージアム、箱根ガラスの森美術館、そしてお決まりの温泉につかるという一日がかりの行程でした。やはり帰りの道路は混んでい…

【読書ツール】読書ツールが変われば、読み方も変わる?、その2

昨日の続きです。 「このように読書ツールが変わることによって、本の読まれ方そのものが変わるのか?」という点は、非常に興味深いところだと思います。本の長い歴史の中で節目節目に読書ツールが大きく変わっていますが、読者層を含め、革命的な大きな変化…

【読書ツール】紙の本はなくなってしまうのか?、その1

ゴールデン・ウィークはいかがですか? これまでの妙な天候とは打って変わって、快晴で暖かい日が続いています。どこかへ出かけるには絶好の日和ですね。朝日新聞が、ときどき差し込み版『朝日新聞グローブ』を発行しています。「著者の窓辺」「ロンドンの書…

【雑考】読書する人々

私が本が好きなのは、読むのもそうですが、本そのものの質感というか、モノとしての本も大好きです。特に、整然とというよりは乱雑に大量の本が並んでいるのを見たり、古書がつまった部屋に漂う独特な匂いはたまりません。また、他の先生たちの研究室や友だ…

【小説】ゴールデン・ウィークは、家でしみじみ本を読む

阿部公彦編訳、『しみじみ読むイギリス・アイルランド文学』(松柏社)しみじみ読むイギリス・アイルランド文学 (現代文学短編作品集)作者: ベリル・ベインブリッジ,阿部公彦,岩田美喜,遠藤不比人,片山亜紀,田尻芳樹,田村斉敏出版社/メーカー: 松柏社発売日:…

【文学史】イギリス文学史を勉強しよう!

たまたまですが、フェリス(後期)と非常勤先の二つの大学(前後期)で、今年度、「イギリス文学史」を担当することになりました。フェリスでは、なくなっていた科目の久々の復活、他の二大学では、担当の先生が研究休暇でお休みのため、その代行で担当しま…

【小説】イギリス小説の古典を読もうプロジェクト、まずは『ガリヴァー旅行記』

イギリスの文学や文化関係の本を紹介するはずが、すっかりテーマがそれてしまったので、またもとに戻します。現代の作家たちも面白い作品をたくさん書いているのですが、意外に「定番」とされるような有名な作品にも、読み直してみると、随分とおもしろい作…

【漫画】岡崎京子を知っていますか?

前回、漫画を取り上げたので、今回、漫画つながりで紹介したい作品があります。このブログの趣旨からはそれてしまいますが、ついでに書かせてもらおうと思います。文学の研究とかをしていると、「自分で作品を書こうと思ったことはないの?」と時どき尋ねら…

【漫画】なぜ、みんなダーシーが好きなのか?

BBCのドラマ『高慢と偏見』が作ったオースティン・ブームは、すでに十数年がたちますが、いったいどこまでいくんでしょうか…。主役のエリザベスをすっかり喰ってしまった相手役のダーシー、というか、コリン・ファース。とうとう、今では、日本のDVDでは「コ…

【文化】サミュエル・ジョンソン生誕300周年関連書、まずはジョンソン・ラヴ!

それにしても本当に寒いですね。東京では雪が降ったとか…。なかなかコートも仕舞えないでいます。 いよいよ2010年度の前期が始まり、授業の第1週が終わりました。初めての授業というものはなんだか居心地が悪くて緊張してしまいます。やるときはやる、遊ぶと…

【研究会情報】18世紀イギリス文学・文化研究会第15回例会のお知らせ

日本ジョンソン協会という学会があるのですが、その東京支部が研究会を開いています。 この学会は、サミュエル・ジョンソンというイギリスの18世紀の文豪の名前を冠にし、「長い18世紀」(具体的には、イギリス王政復古期からウィリアム・ブレイク没年時に至…

【スピーチ】なぜ、小説を書くのか?(=なぜ、大学で文学を学ぶのか?)

明日から新年度の授業が始まります。初めて大学で授業を受ける人、大学での最後の年になる人、いろいろだと思いますが、何かを学ぶことができたと思える1年になれば、と願っています。さて、生活にゆとりがなくなってしまうと、実用的でないことに対して否定…

【学会情報】日本英文学会関東支部5月例会

年度が明けると、春の学会や研究会のシーズンが始まります。今年度は5月1日(土)の日本英文学会の関東支部の例会でスタートです。日本英文学会は、日本の大学などで英米文学や言語学などを教えている教員や学んでいる院生の所属する、日本で最大の英文学関…

【小説案内】イギリスの探偵小説の面白さ

廣野由美子、『ミステリーの人間学―英国古典探偵小説を読む』(岩波新書)ミステリーの人間学―英国古典探偵小説を読む (岩波新書)作者: 廣野由美子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/05/20メディア: 新書購入: 2人 クリック: 30回この商品を含むブログ …

【雑考】先生、リスたちが桜の花を食べています!

まだまだ寒い感じの日が続いていますが、桜の花の方はそろそろ満開に近くなっています。満開の桜の花を見ると思い出すのが、坂口安吾の『桜の森の満開の下』。見事に咲いた桜の木の下には本当に死体があるのでしょうか。桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)作…

【映画】ジェイン・オースティンの秘められた恋?

ジュリアン・ジャルド監督『ジェイン・オースティン―秘められた恋』主演:アン・ハサウェイ、ジェイムズ・マカヴォイジェイン・オースティン 秘められた恋 [DVD]出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン発売日: 2010/03/17メディア: DVD…

【ラジオ】カルチャー・ラジオ「文学の世界: ジェイン・オースティンとイギリス文化」

ラジオと書いてあり、「えっ、ラジオ?」って思ってしまう人も多いかもしれません。最近、ラジオは聴いていますか? そういう私も、車を運転中にFMを流すときくらいしかラジオは聴かなくなりました。 しかしながら、私の高校生の頃(もう30年くらい前‼)には…

【小説】マッシュアップ小説とは…

ジェイン・オースティン&セス・グレアム=スミス、『高慢と偏見とゾンビ』安原和晃訳(二見文庫)高慢と偏見とゾンビ ((二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション))作者: ジェイン・オースティン,セス・グレアム=スミス,安原和見出版社/メーカー: 二見書房発売…

【雑考】テレビを観る時間、携帯をいじる時間、本を読む時間…

ここ数日は冷たい雨が続いていますが、きっと、その後には暖かい春の日が始まるような予感がします。 近所の桜の花も少しずつ咲き始めました。この季節になると思いだすのが、サニーデイ・サービスというグループの『東京』というアルバム。ジャケットの桜が…

【小説】「物語ること」の力

ロイド・ジョーンズ、『ミスター・ピップ』大友りお訳(白水社)ミスター・ピップ (EXLIBRIS)作者: ロイドジョーンズ,Lloyd Jones,大友りお出版社/メーカー: 白水社発売日: 2009/08/01メディア: 単行本 クリック: 25回この商品を含むブログ (18件) を見るロ…